キアゲハ舞戻る

5月22日 ? ? ? ? ? ??
今年は羽化の時期が不ぞろいで、まだ飼育箱にはキアゲハの越冬さなぎが1匹ぶら下がっているのですが、すでに羽化していた3羽のキアゲハを菜の花畑に放してあげました。

5月24日 ? ? ? ? ? ? ?
今だ羽化していない、越冬さなぎのままの1匹は、朝8時に見た時には全く変化が無かったのですが、その30分後には突然羽化していて、羽をバタバタさせています。
4匹目のキアゲハの羽化です。ゆっくり時間をかけたせいなのか、個体も先に羽化したキアゲハより一回り大きく、とても元気です。
ベランダのカーテンにつけてあげると、途端に羽ばたいて「外に出たいよう、出たいよう」と言っています。
天気予報が雨なので、「天気が回復したらとね」ということで、一日待ってもらうことにしました。

5月25日 ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ?
不思議なことが起こりました。
朝、飼育箱の中にキアゲハが2匹仲良く並んでいるのです。なんと5匹目のキアゲハです。
かごにぶら下がっている、脱皮した殻を確かめてみても4つしかありません。
いったいどこからやってきたのでしょうか? 
下でもに落ちていたのでしょうか? ワープなんでしょうか?

昨日羽化した4匹目の元気なキアゲハは、友達ができたのでとてもうれしそう。でも、飼育箱の中で元気にバタバタしすぎて、後ろ羽の一部が欠けてきています。


もう限界ですので、前のキアゲハと同じように、菜の花畑に放してあげることにしました。
彼女にもわかったのでしょうか、移動の車の中ではとても静かにしています。
菜の花の匂いが漂う中、かごを開けると2匹は名残惜しそうに、指に絡みながらも、次々に快晴の空に舞っていきました。

不思議なことが起こりました。
菜の花の写真を撮り15分くらいたったでしょうか。
突然、菜の花畑の上空からキアゲハが猛スピードでこちらに向かってやってくるのです。カメラのシャッターを押す時間もありません。

驚いていると、カラになった飼育箱の上ぶたの上に止まって匂いを嗅いでいるようです。
「信じられない」 なんと、あの後ろの羽の欠けた4匹目のキアゲハです。
半年さなぎとして冬眠していた場所、飼育かごの匂いや色を覚えていたのでしょうか。
かごの上を歩き回り、なかなか飛びだちません。


「ありがとうございました」と、言いに戻ってきたように思えて、なぜか涙が止まりませんでした。

「江部乙の丸加高原は、おいしい蜜がいっぱいの菜の花が満開だよ。」
「さあ、今度こそお別れ」と伝えると、青空に向かって元気よく旅立って行きました。