美沢分校

 

地元の83歳になられる元気な知り合いが、「持っている山の写真を撮ろう」と声をかけてくれ、トラックで出かけた。造林場所へ行く途中、既に廃校になっている学校や跡地を10個所位ぐるぐると回った。広い新十津川町の山の中、頭の中では地図の感覚が全く無くなっている。
新十津川町の小中学校も統廃合が進みそれぞれ1校となり、10年が経った。彼は私の経歴を知っていて、過去の新十津川町の学校の歴史を見せたがっているように、強く感じた。

最初に訪れた美沢(みさわ)分校は廃校になり36年、解体されず残っていた。しかし朽ちるまでは少しの時間もかからないだろう。
彼の記憶を私に伝えてくれたことで、今、私が伝えていく番になっていった。
「磐の沢沿革」の記念碑が建てられていた。
入植・開拓の方々と共に教師たちも熱い情熱を燃やしていたことを、記憶の彼方の自分に重ね、しばし佇んでしまった。